SBN158_人見知りする赤ちゃんの心のなかは?
あんなに抱っこしてあげたのに、あんなに笑顔を見せてくれたのに!どうして突然、そんなにつれない態度なの?人懐っこかった赤ちゃんの、突如として変わる態度に私たちはオロオロするばかり。まわりに赤ちゃんがいる人であれば、誰もが通る道、それが赤ちゃんの人見知りです。人見知りをする赤ちゃんの心はいかに?それを解き明かすきっかけとなる研究を、JST、東京大学、京都大学、理化学研究所、同志社大学が共同で発表しました。
赤ちゃんの「人見知り」という現象は、人を怖がっているためだと考えられていました。実際、人見知りが始まる生後半年を過ぎたあたりに「怖い」という感情が芽生えることが知られています。しかし、もし怖いだけならば見なければ良いのに、赤ちゃんはわざわざ相手を見たり、慣れると近寄ってきたりもします。不思議に思った研究チームは、人見知りの原因は怖さ以外にもあるのではないかと考えました。今回の研究では生後7〜12ヶ月の赤ちゃん57名とその母親を対象に気質調査と視線反応計測を行いました。気質調査では赤ちゃん自身の特性を母親へのアンケートで調べます。CCTIという手法で人見知り度、IBQ-Rという手法で怖がり度と近寄り度(赤ちゃんが相手に近寄りたがる指標)を測りました。それらの結果を比べると、人見知りの強い子ほど怖がりだというだけでなく、相手に近寄りたがる傾向も強いことが分かったのです。さらに、赤ちゃんが相手の顔のどこを見るかを視線反応計測で調べると、人見知りの強い赤ちゃんはそうでない子より目の動きに注目し、相手がよそ見をしている時にじっと見ているということも分かりました。これは、怖いながらも近寄りたいという心の葛藤が行動に現れた結果だと考えられます。
あんなに小さいのにすでに心の葛藤を経験しているんですね。誰もが知っている現象もしっかりと研究してみる事で、私たち人間の心の成熟過程の解明への道を、また一歩進むことができたのです。
参考:http://www.jst.go.jp/pr/announce/20130606/index.html
記者コメント:僕自身も姪っ子に人見知りされて、とても悲しい思いをしました。でも、怖がっているだけでないことがわかってホッとしました。(吉田)
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