ホーム サイエンスブリッジニュース SBN159_ニホンウナギの光る仕組み解明、新規の臨床検査試薬を開発!

SBN159_ニホンウナギの光る仕組み解明、新規の臨床検査試薬を開発!

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159 もうすぐ夏本番。 夏バテを乗り切るためにウナギを食べよう!なんて言われることもありますが、私たちの食卓にのぼるニホンウナギが実は、海中で緑色に光っていることはご存知でしたか?2009年、ニホンウナギの筋肉の中に光るもととなる「緑色蛍光タンパク質」の存在が明らかにされましたが、その正体や光る仕組みは不明なままでした。

理化学研究所の宮脇敦史さんは、蛍光タンパク質に魅せられて長年研究を行なってきた1人。2013年6月13日、ついにニホンウナギの光るタンパク質の遺伝子を単離し、正体をつきとめました。その遺伝子産物は139個のアミノ酸からなるタンパク質で「UnaG(ユーナジー)」と名付けられ。次に、その遺伝子を大腸菌に導入し大腸菌にUnaGを作らせましたが光らず、哺乳類の培養細胞に導入した場合は光りました。ここから、大腸菌には存在せず哺乳類培養細胞には存在する何らかの物質がUnaGに結合して光らせていることが示唆されました。そこで、哺乳類培養細胞で作らせた光るUnaGの中から、大腸菌で作らせた光らないUnaGを光らせる物質を探しつづけました。その結果、ビリルビンがUnaGを光らせることが分かりました。ビリルビンとは、壊れた赤血球の中にあるヘモグロビンが酵素の働きで変化してできるもので、常に私たちの体の中に存在します。肝臓の機能が弱まると増加し黄疸という症状を引き起こすため、ビリルビンの血中濃度は健康診断の検査項目にも入っています。宮脇さんらは、このビリルビンの血中濃度測定にUnaGを活用する蛍光測定法を開発しました。これまで、複雑な操作を経て測定していたビリルビンですが、光の強度をみるだけで濃度が測定でき、サンプル量も減らせ、3桁以上の感度向上を達成しました。

食べても美味しいウナギが医療現場にも役立つなんて驚きですね。ただ、ウナギのUnaGを食べても私達の体は光りませんのでご心配なく。

参考: http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130614_1/

記者コメント:宮脇先生がキクメイシサンゴから単離した光るタンパク質を大腸菌に導入するキットを販売中!リバネスショップで検索!(立花

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吉田 拓実/Takumi Yoshida 教育開発事業部 部長 東京大学農学生命科学研究科応用生命化学専攻博士課程修了 農学(博士) 専門は植物の環境ストレス応答遺伝子の研究 実験教室、スクール運営、企業の教育CSRなどを担当 現在は、社会全体で盛り上げていく科学教育の形を研究中