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SBN161_目を見れば好きな食べ物がわかる?

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食べすぎたらだめだと思っていながらも、ケーキには目がない、チョコレートを食べ出したら止まらないという人、いませんか?これには快楽や依存に関わり、脳内麻薬とも言われる「ドーパミン」が関わっていると考えられています。ドーパミンは、欲求が満たされたときなどに脳内に放出され「快」を感じさせると言われています。しかし、人にとって大きな「快」である「食べる」こととドーパミン濃度との関係を調べるには、背骨に針を刺すなど、測定を受ける人に大きな負担がかかるか、もしくは非常に高価な方法しかなく、研究が進んでいませんでした。今回、ドレクセル大学のナセル氏は、食べ物とドーパミン濃度の関係を安く簡単に調べる方法を発表しました。それは眼科医が網膜の損傷を調べる際に普段から行っている、網膜の電位変化を測るというものでした。

 

ナセル氏は、網膜の神経細胞がドーパミンによって興奮することを利用し、食べ物によるドーパミンの濃度変化を調べられないかと考えました。そこで、水、チョコレート・ブラウニー、そして脳内のドーパミン濃度を上げることが知られているメチルフェニデートのうち、1つを協力者に食べてもらい、その後、目に光で刺激を与え、発せられる電気信号を測りました。すると、ブラウニーを食べた場合、メチルフェニデートとほぼ同等の電気信号の増幅が記録されたのです。これは、網膜の電位変化を測るという簡単な方法で、脳内のドーパミン濃度を調べられる可能性を示しています。これまではこの網膜神経と、脳内のドーパミン濃度は関係がないと考えられていたため、驚きの結果です。今回は9人で試した結果であるため、今後、より大人数を対象として調査する必要はありますが、自分の脳で、いくつもの食品の中から1つだけが大幅なドーパミン上昇を招くことが事前にわかれば、「この食品は、食べ過ぎてしまう可能性が高いから避けよう」というように気を付けることもできます。食べ過ぎを科学的に予知し、防げる未来が来るかもしれません。

 

参考:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/oby.20101/abstract

 

記者コメント:私もスナック菓子などを食べだしたら止まらず、一袋なくなっていたなんてことがよくあります。自分はどんな食べ物でドーパミンが出るのかぜひ測ってみたいですね。(瀬野)

 

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吉田 拓実/Takumi Yoshida 教育開発事業部 部長 東京大学農学生命科学研究科応用生命化学専攻博士課程修了 農学(博士) 専門は植物の環境ストレス応答遺伝子の研究 実験教室、スクール運営、企業の教育CSRなどを担当 現在は、社会全体で盛り上げていく科学教育の形を研究中