SBN162_血球の赤ちゃんも老化する!?原因タンパク質をついに発見!
いよいよ暑い夏の到来!冷房の効いた部屋でアイスや冷たい飲み物がおいしいですね!そんな毎日を過ごしていたら、ダルくなったり夏風邪をひいたりしてしまった経験はありませんか?それは、体が冷えたことや、体力の消耗により免疫力が低下したからかもしれません。今回はそのような免疫力の老化に関する最新の研究成果をお伝えします。
ヒトの血液は赤血球や血小板、そして免疫にかかわる白血球(リンパ球含む)などの成分を含んでおり、これらの由来は造血幹細胞というたった一種類の細胞です。この細胞が増殖、変化し、新しい機能を獲得することで様々な種類の血球が作られます。このしくみは10代のみなさんも高齢者も同じです。
しかしよく調べると、年をとった造血幹細胞は、リンパ球を作りだす量が減少していることがわかってきました。そこで「造血幹細胞に老化が起きているのでは?」と世界中の研究者が調べていたのですが、これまでほとんど原因がわかっていませんでした。そしてついに、大阪大学の横田貴史 助教らのグループがあるひとつのタンパク質が関わっていることを発見したのです。
それはSatb1というタンパク質。発生過程の細胞や未成熟なリンパ球などの中で、DNAにくっついて遺伝子発現の調節をしています。今回、造血幹細胞内のこのタンパク質の量が、加齢に伴い減少することがわかったのです。さらに、生まれつきSatb1を持たないマウスにはリンパ球ができないことや、老化したマウスから取り出した造血幹細胞を操作して細胞内のSatb1量を増加させると、リンパ球を作りだす能力が一部回復することなどがわかりました。この研究成果により、高齢者特有の白血病やリンパ腫の病態の解析や高齢者の免疫力をアップさせる新しい技術の開発につながることが期待されています。今後、感染症に強い、元気はつらつな高齢者が増えていくかもしれませんね。
参考:http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/ResearchRelease/2013/06/20130625_1
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