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2014.02.26 サイエンスブリッジニュース

SBN164_素早い免疫応答の仕組みを解明!

164 最近「風疹予防のため、妊娠を希望する女性は予防接種をしましょう!」とテレビなどで耳にしませんか?今年の風疹の患者数は、すでに昨年一年間を大幅に上回り、過去最悪ペースの流行とも言われています。ワクチンの予防接種は様々な病気に対して有効な予防法です。最近、より良いワクチン開発につながる発表がありました。

ヒトの体では病原体が侵入した時にB細胞という免疫細胞が抗体産生細胞に変化し、病原体を処理する抗体を作ります。B細胞(ナイーブB細胞)は1度出会った細菌やウイルスを記憶し、メモリーB細胞になり、そして2度目の侵入の時には素早く抗体産生細胞に変化することができます。しかし、メモリーB細胞がどうして素早く変化できるのか、その詳細な仕組みはいまだに解明されていませんでした。そしてその要因について、「B細胞の表面説」と「B細胞の中身説」の2つが挙げられ、議論が続いていました。

理化学研究所の黒崎氏らは、この2つの仮説を検証する研究を行いました。まず一つめは「B細胞の表面にあるBCRという分子が、ナイーブB細胞とメモリーB細胞で異なることが要因である」という仮説です。そこで、BCRを入れ替える遺伝子操作を行い、抗体産生細胞に変化する早さを調べましたが、効果は見られませんでした。そこで、次に「B細胞の中身の違いが要因である」という仮説を検証しました。B細胞内で働く主な遺伝子のいくつかについて、その発現量を調べました。するとメモリーB細胞では、Bach2という遺伝子の発現量が、ナイーブB細胞に比べて1/5に減少していることがわかりました。さらに、ナイーブB細胞のBach2発現量を実験的に減らしてみると、抗体産生細胞に変化しやすくなることがわかったのです。

今後、Bach2を調節し、速やかに抗体産生細胞に変化させるような新しいワクチンが作られることが期待されています。病気にならないための医療が進めば、もっと快適に生活できるようになりますね。

(2013年7月23日に教育応援先生向けに配信されたサイエンスブリッジニュースです)

参考:http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130712_1/

記者コメント:僕も「重要なのは細胞の表面か内側か?」を探る研究を行っていました。「シグナル伝達」と呼ばれるしくみ、おもしろいのでよかったら調べてみてください!(戸金

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