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2014.02.28 サイエンスブリッジニュース

SBN166_長持ちする電池を作りたい!

166夏休みだ!旅行に行こう!しまった!携帯の充電器を忘れてしまった!もっと電池が長持ちすればいいのに・・・。

電子機器が世の中に広がった今、より高性能な電池が求められています。小型で安全、そして長寿命な電池を求め、研究が進められています。国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の館山氏らは、新しい方法で電池開発に取り組みました。

今回研究で注目したのはリチウムイオン電池です。リチウムイオン電池は放っておいても放電量が少ないことや、充電を繰り返す携帯電話などでの使用に適した特徴を持っています。この電池の性能を左右するもののひとつがSEI膜(Solid Electrolyte Interphaseです。ダニエル電池の正極でCuが出てくるように、電気を発生する際に分解された電解液の成分が電極に付着し、電池性能の低下につながると言われています。このSEI膜の改善には、添加剤を加えることが効果的であることは知られていましたが、SEI膜の形成過程を観察することは難しく、その原理の解析は進んでいませんでした。そこで館山氏らは、日本が誇るスーパーコンピュータ「京」を用い、シミュレーションでSEI膜の形成過程解明に挑戦しました。電子の状態を高精度で計算する方法や、液体中の化学反応のエネルギー変化を計算する手法を融合させた、複雑な計算技術を世界で初めてリチウムイオン電池に適用したのです。その結果、電解液の分解過程と添加剤の挙動、そしてSEI膜の素材となる重合過程を分子レベルで明らかにすることに成功しました。このことにより、添加剤がなぜ電池の性能や安全性を向上させるのかという原理を示すことができました。この成果はリチウムイオン電池の性能向上に非常に大きな役割を果たすと期待されています。

研究というのはトライ&エラーの繰り返しと言われていますが、高度な情報処理機能を持つコンピュータの登場により、予測の精度、そして速さが飛躍的に向上してきました。自然科学に対するアプローチ方法も転換期を迎えているのかもしれませんね。

(2013年8月16日に教育応援先生向けに配信されたサイエンスブリッジニュースです)

参考:http://www.nims.go.jp/news/press/2013/08/p201308010.html

記者のコメント:薬の開発でも分子の折りたたみ構造をコンピュータで割りだし、効き目を予測していると聞いたことがあります。情報技術と科学技術が融合する時代ですね。(戸金)

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