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SBN167_新たなシミュレーション技術で電子機能性インクの動きを予測!

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167 みなさんは家庭でプリンターを使いますか?現在主流のインクジェットプリンターは紙にインクで文字や写真を印刷します。これと同じような技術が電子回路の作成に使われようとしています。現在、半導体などの電子回路の作成にはリソグラフィーという手法が使われています。これは感光性の基板に電子ビームなどで回路パターンを生成しますが、その過程で材料(マスクとよばれる樹脂や感光性のガラス版)の70%以上をロスしてしまいます。そこで今注目されているのがプリンターのように電子回路を作る技術、「プリンテッド・エレクトロニクス」です。この技術が実現すると、材料の90%を活用することができると言われています。

プリンテッド・エレクトロニクスでは、インクに半導体の材料が溶け込んでおり、これを基盤の表面に吹き付けて電子回路を作成します。この基盤には、インクがしみこむ親水性の領域と、インクをはじく撥水性の領域があり、精密な回路を作るためにはインクの広がり方を正確に計算する必要があります。しかし、それぞれの領域でとても微小なインク(数ピコリットル~数十ナノリットル)がどう濡れ広がるかを予測するのは難しく、精度や時間面で十分なシミュレーションができていませんでした。ところが、産総研の野田祐樹氏らのチームは、ついにこの問題を解決するシミュレーションソフトウエア「HyDro」を開発しました。HyDroでは、液滴の表面形状を、平らな基板表面に接触している部分と、それ以外の部分に分けて計算を行います。 これはスイカを半分に切って、果肉の部分を下にしてテーブルに置いたとき、テーブルに接している部分と、それ以外の部分というイメージです。このように液滴を分割して計算することで、実験結果とほとんど一致する、より正確な予測を行うことが可能となったのです。

僕の家にもかなり年季の入ったインクジェットプリンターがありますが、電子回路が印刷できるようになるなんてすごいと思いました。この技術が進歩すれば、軽くて曲げることのできる液晶ディスプレイなどの開発が低コストで可能となります。ハリーポッターに出てくる、写真が動く新聞が現実のものとなる日も近いのかもしれないですね。

(2013年8月13日に教育応援先生向けに配信されたサイエンスブリッジニュースです)

参考 http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2013/pr20130731/pr20130731.html

記者のコメント:「プリンテッド・エレクトロニクス」は、「プリンタブル・エレクトロニクス」と呼ばれていましたが、現在技術的に可能になったので今の呼び方になったそうです。(原田)

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