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2014.03.07 サイエンスブリッジニュース

新元素誕生!「ウンウンペンチウム(仮)」

171 化学の授業でおなじみの周期表。メンデレーエフによって提案され、物質の化学的なふるまいを非常に鮮やかに表現しています。その完成度の高さから化学のバイブルとも呼ばれるこの周期表に、まもなく新しい元素が追加されます!自然界に存在する最も重い元素は92番のウラン。現在では先端技術を駆使することで、より重い元素を原子核融合によって人為的に作り出すことが可能です。今回、スウェーデンの研究チームによって新元素の存在が確認されました。 新しい元素を作るためには、ある元素のビームを別の元素に照射して衝突するとどうなるか、とにかく繰り返し調べます。今回の実験では原子番号95銀白色の金属元素アメリシウムに20のカルシウムのビームを当てて、反応を観察し続けました。その結果、軽いカルシウム原子はほとんどの場合アメリシウムに当たって跳ね返りましたが、ごくごく稀にカルシウム原子がアメリシウムとくっついたのです。115の陽子を持った新しい元素ウンウンペンチウムの誕生です。この名前はまだ仮のもので、今後IUPACによって正式な名称が決定され、原子番号115が与えられます。実はこの新元素、ロシアのチームが1度生成に成功しているのですが、今回同じ現象を再現するために10年もの月日がかかりました。気が遠くなるほどの反復実験と研究者の執念により、ついにウンウンペンチウムはその存在を認められ、周期表の仲間入りを果たします。 ただしこの新元素、わずか1も持たずにすぐに壊れてしまい、なにかに利用できるわけでもありません。いったいなぜそんなものを作ることに時間とお金と労力をかけるのでしょうか。ウェストミンスター大学で同じく化学を研究するポール・フッカー教授は、この問いに「それがそこにあるからだ」と答えています。研究の原動力となるのはメリットではなく真理に近づきたいという科学者の根源的な想いなのです。物質はどのようにして存在するのか?という大きな謎に迫るこの研究には、目には見えない高い学術価値が隠されています。 (2013年9月10日に教育応援先生向けに配信されたサイエンスブリッジニュースです)

参考http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20130829001&n_gadget=0000

記者のコメント:あなたにとって研究とは?と聞かれたら私は「真理の探究」と答えます。世界のしくみはまだまだ謎だらけ。人間の英知は真理に一歩ずつ近づいていると信じています!(中嶋

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