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噛む力を調べて健康診断!

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172「ごはんは100回噛(か)みなさい!」「お米が甘く感じるまでよく噛みましょう。」小さな頃、このように言われて育った人も多いのではありませんか?食べ物はよく噛んで食べることが大切、この当たり前に感じるようなことが、健康状態を知るために活用されようとしています。

ごはんを噛むことを咀嚼(そしゃく)といいます。もともと咀嚼にはたくさんの重要な役割があることが知られています。食べ物を細かくすることにより表面積を増やし、栄養分を吸収しやすくするという消化を助ける、食べ物を飲み込みやすくする、あるいは風味や噛みごたえを感じるといった役割です。逆にいうと、咀嚼がうまくできないということは、同じものを食べても必要な栄養を吸収できない、食べることを楽しむということができないということなのです。また、口の健康状態はQOL(Quality of Life:生活の質)に大きく影響することもわかってきています。よって、食べたものをどれくらい細かくすることができるかという咀嚼の能力を測ることは、特に高齢者の健康状態を知ったり、生活を向上させたりするのにとても重要だと考えられるようになってきました。そこで、現在では咀嚼能力を調べる技術が開発されています。しかし、今のところ精度の高いものは時間がかかる(1時間程度)、短時間でできるものは評価に使うには誤差が大きすぎるなど、標準となる方法は決まっていませんでした。今回、大阪大学の野首特任教授らの研究チームは、誤差が極めて小さく、しかも簡単に短時間で咀嚼能力を調べられるシステムを開発しました。このシステムでは、専用のグミを使用します。このグミにはβカロチンという色素を含ませており、噛まれて粉砕されることによってグミの表面積が大きくなると、グミから溶け出す色素が多くなることを利用して咀嚼能力を判定します。また、噛まれたグミを測定する作業を全て自動化することにより、わずか30秒で誤差が5.0%以下という精度を達成したのです。

この研究成果、健康状態を知るため以外にも、高齢者の噛む力に合わせた食事の選択などにも応用が期待されています。「噛む」という無意識に行っていることだからこそ、自分の状態を正しく調べることができるのかもしれませんね。今日のごはんはいつもよりしっかり噛んで、味わって食べましょう。

(2013年9月18日に教育応援先生向けに配信されたサイエンスブリッジニュースです)

参考 http://www.jst.go.jp/pr/info/info981/index.html

記者コメント:普段なにげなく行っている「噛む」ということが、自分の健康状態を示せるなんて思いもよりませんでした。将来は簡単に虫歯の位置もわかるようになるかもしれませんね。(戸金

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吉田 拓実/Takumi Yoshida 教育開発事業部 部長 東京大学農学生命科学研究科応用生命化学専攻博士課程修了 農学(博士) 専門は植物の環境ストレス応答遺伝子の研究 実験教室、スクール運営、企業の教育CSRなどを担当 現在は、社会全体で盛り上げていく科学教育の形を研究中

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