【実施レポート】ダイズハカセと一緒にみそ仕込に挑戦!
2016年1月24日(日)11:30-13:30、「みそ仕込み教室」を開催しました。
講師をつとめるダイズ博士みやっち(宮内陽介)は、今回は「みそソムリエ」としてみその魅力について語りました。
一口にみそといっても、たくさんの種類があるのはご存知ですか。主な原料には米・麦・豆のいずれかが使われています。原料は同じでも、原料を蒸すか煮るか・塩分濃度・どのくらいの期間熟成させるかといった要素に違いがみられます。みそに特徴があることを知るには「利きみそ」が一番。主な原料が米の米みそ・麦の麦みそ・豆の豆みその3種類を用意し、ヒントを見ながら・味を確かめながら、どれがどのみそかを予想してもらいました。参加されたみなさんの味覚は鋭く、全問正解が多く飛び出しました。
(利きみそヒント①米みそ:あまみが強いものから、からみの強いものもある。あわい色や濃い色もある。②麦みそ:あまみがあり、麦のかおりがする。あわい色が多く、みその中に黒い線がある。③豆みそ:うまみが強い。濃い色。)
みそのことを知ってもらったうえで、いよいよ自分でみそを仕込みます。今回作るのは「米みそ」です。米みそは「米・大豆・塩」を原料としてつくられたみそのことです。そして、忘れてならないのが「麹(こうじ)」です。麹はカビの一種である麹菌(学名Aspergillus oryzae)のことです。麹菌は米や大豆のタンパク質などを分解する酵素を細胞外に分泌し、分解していきます。分解されてできた物質はみその香りや成分となります。
みそ仕込みの方法を追っていきましょう。用意するものは(1)蒸煮大豆(10-15時間給水させ、煮たもの)(2)米麹(蒸した白米に麹菌を繁殖させたもの)(3)塩(4)ビニール袋(5)ボール(6)みそ保存容器(7)日本酒(8)キッチンペーパーです。「蒸煮大豆・米麹・塩」は、適切な量が決まっているので、しっかり調べておきましょう。
まずは、キッチンペーパーを日本酒で湿らせ、みそ保存容器を殺菌します。次に、塩と米麹をボール内で均一に混ぜます。さらに、蒸煮大豆をビニール袋に入れ、手のひらを使ってつぶしていきます。大豆がペースト状になったら、塩と米麹とまんべんなく混ぜます。均一に混ぜるには、少し力が必要なので頑張ってほしい作業です。ペースト状大豆・米麹・塩が混ざり合ったら、野球ボール大の玉をつくります。これを「みそ玉」といいます。みそ玉を作ることで、混ざっている余計な空気を出す効果があります。このみそ玉をみそ保存容器に一つ入れてはつぶしていきます。これも空気を抜くことに注意しながらやると良いです。最後に余計なカビが生えないよう、表面に化粧塩をふりかけ、ラップで表面を覆ってフタをして完成です。
みそ玉をつくったら、ちょこっと食べてみましょう。きっと「しょっぱい!」と言うはずです。それもそのはず、みその塩分濃度は10%前後なのです。3%の海水よりもずっと塩が入っています。そんな中、麹菌は生きられるのだろうか?という疑問が出てきました。そこで、お家でできる材料で実験してみました。コンソメスープをつくるときのコンソメと寒天を圧力鍋で殺菌し、タッパーなど(ここではシャーレ)に分け、固めたものを培地とします。そのままのものと、塩分濃度が10%になるように塩を加えたものを用意します。これでカビや細菌の栄養分ができました。この培地には「麹菌」「納豆菌」「酵母」「大腸菌(研究室にあるものを使用)」を水に懸濁した溶液を綿棒で塗りつけていきます。コンソメ培地とそれに10%の塩が入った培地、どの菌が10%の塩分濃度で生きるでしょうか?予想してみてください。このシャーレは開けないことを約束に、お家に持って帰り、観察を続けてもらいます。結果は次のアグリサイエンスラボ(2016年2月28日「ソーセージをつくろう!」)でお披露目です。
今回の話のミソは、「自分で種をまき、自分で収穫した大豆を、自分でみそに加工する」ところです。このように食べ物の始まりから終わりまでを経験することで、加工された状態だけでは知り得ない食品のストーリーをイメージし、そこにかくれた科学技術を学ぶことができました。この教室が元になって、子どもたちの食品に対する見方に変化があればいいなと思っています。