特別投稿:ロボティクスラボを通じて学んだこと(松尾和弥)
参加当時の背景を振り返りながら説明させていただきます。
僕は、小学3年生から6年生までの4年間、ロボティクスラボ(NEST LAB.の前身)に参加させていただきました。
僕は工作が好きで、もっと本格的に取り組みたいということで両親に頼み、モノづくり関係のスクールを探してもらいましたが、当時はロボット系スクールでは、「ロボティクスラボ」とその他2つぐらいしかありませんでした。
プログラミングや、ゲーム作りを学べるスクールもありましたが、その中でもモノづくり関係全般を本格的に学べそうな「ロボティクスラボ」に参加することを決めました。
ロボティクスラボでの経験
ロボティクスラボでは、期待通り、モノづくりの骨格となる「素材」「動力」「機構」「プログラミング」の基礎を4年間で学ぶことが出来ました。またプレゼン指導もしてもらい、この部分も振り返ると大きな経験となっています。これらが今でも僕のモノづくりの基礎となっています。分かりにくい表現かも知れませんが、モノづくりをするにあたり、学んだ骨格が地図のようになって、今でもモノづくりだけでなく、チームでのプロジェクトの時にも、今どの部分に取り組んでいて、どの部分が大きな課題なのか、骨格のどの部分が今回新たな知識として吸収できたのかなど、地図を年々アップデートしている感じです。小学生の時にこの基礎となる骨格が出来たことは、ロボティクスラボに参加して良かった大きな理由の一つです。
もう一つ、参加して良かった大きな理由は、講師の先生方が本当の研究者で、小学生にも研究者として大切なことを各場面で教えてくれたり、出来ないことが出来るようになる研究やモノづくりの楽しさを教えてくれたりして、今も根底にモノづくりの楽しさが身についたということです。
現在のロボット系小学生向けスクールについての考え
今は当時と違い、数えきれないくらいのロボット系スクールがあると思います。多くはゲームプログラミング系、ロボットプログラミング系で、モノづくりを謳っているところでも、レゴを使ってロボット筐体を作るというもので、ロボットプログラミング系の範囲です。プログラミングの必修化とコロナ禍のオンライン教育の影響で、この分野の小学生ニーズと企業の利害関係(特にオンライン)が合致し、急激にスクール数が増加したと思います。これは僕の感覚であり、本当は時間があれば、スクール数の増加とそのスクールが取り扱う分野を調査し、分析すると色々と見えてくるもの(ロボ研の価値や差別化)があると思いますが、出来ていません。
両親とも話したのですが、モノづくりを本格的に教えているスクールはやはり現在でもあまり無いという気がします。ニーズ自体がないのではなく、ニーズに一番合致するスクールが何なのかを小学生(親を含む)が理解できていないのと、そのスクールが極めて少ないのと、その少ないスクールがニーズの掘り起こしを出来ていないのが理由だと思います。
ネットの引用ですが、プログラミング教育のニーズは、「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成」が目的とされています。コーディングなどを覚えることではなく、自分で考え、それを形にしていく、プログラミング的思考力や行動力の育成が重要とされています。その時々に合わせて柔軟に対応できる、時代を超えて普遍的に求められる資質・能力を身に付けることが最大の目的とされています。プログラミング的思考は簡単に言うと、「目的を達成するために物事を順序立てて考え、結論を導き出していき、それを計画的に実行する考え方」です。そのためには論理的思考・創造性・問題解決能力・行動力が必要されます。考えるだけでなく、実行に移していくことにより、様々な経験を積むことが出来ます。これらを身に付けることにより、様々な問題に対応していく力や積極性を身に付けることも期待されます。
僕は、これはプログラミングよりもモノづくりを通じての方が、はるかに養えるものだと思います。モノづくりは、作成過程で、色や大きさ手触りなど五感を使って理解できることと、プログラミング教育で求められる全て、一例で言うとプログラミングではうまくいかない時はプログラムを試行錯誤しながら改良していくだけですが、モノづくりでは100均に素材の追加購入検討から試行錯誤しなければなりません。うまくいかない理由が素材だけでなく構造上の問題があったり、素材と動力との組み合わせの問題、または、機構と素材の組み合わせの問題、または、動力と素材の組み合わせの問題など様々に複合的に試行錯誤する必要があり、時間と費用がかかる反面、かなり力がつきます。
松尾 和弥