【実施レポート】300年続く小田原のみかん農家でみかん狩りに挑戦!
こんにちは!アグリサイエンスラボの秋永名美です。
冬といえば、みかんですね!
12月13日(日)には、アグリサイエンスラボ最後のフィールド実習として、小田原で300年続くみかん農家「あきさわ園」に行って参りました!
「あきさわ園」の秋澤さんは、2014年にリバネスで開催した食と農のアントレプレナー発掘イベント “アグリプレナーグランプリ”にて、見事ロート賞を受賞した期待の農家さんです。その御縁もあって、今回実習でおじゃますることになりました(関連ニュースはこちら)。
今回はたくさんの写真で、現地の様子をお伝えしたいと思います。
バスで1時間半ほどで小田原に到着。農家の秋澤さん(写真右奥:オレンジ色の上着のかた)から、あきさわ園全体の紹介を受けます。ブルーベリー等も育てているそうです。
細い山道をのぼっていくと… 急に景色が広がりました!山の斜面至るところにみかんがなっています!そう、みかんは暖かく水はけの良い斜面で育つのです。
みかんが鈴なりです。
「湘南ゴールド」という地域特有のかんきつ類や、レモンの木もありました。
みかんのとり方について説明を受け、早速収穫開始です!
(農家さんははさみを使って丁寧に茎を切りますが、今回は小学生でも簡単にできる方法として、茎とヘタのところをくるくる回すだけのやりかたで収穫しました)
真剣です。
たくさんとりました!
みかん山を歩きながら、みかんの色や味の違いについて秋澤さんから教わります。みかんの花は、5月から6月にかけて咲くそうです。その1ヶ月の違いによって、今の時期の実の色が熟したオレンジ色になるか、まだ黄色くて酸っぱいか、変わってくるとのこと。
その後秋澤さんに連れられて向かった先は…..
なんと、みかんを蔵で保存しているのです。
このみかん山のあちこちに、このような木造の蔵が建っていて、みかんの種類や時期によって1〜3ヶ月保存しているそうです。その間に、酸味が抜けてコクのある甘さになるといいます。
山から作業場に戻ってきました。手作業で、みかんのサイズ分けをしているところでした。
実験とまとめの講義に入る前に、まずはお昼ごはん。ご飯・お味噌汁・大根の葉っぱを炒めたもの・かぼちゃ・キウイと、あきさわ園やその周りでとれたお野菜や果物を美味しくいただきました!
さて、午後は秋澤さんへの質問タイムです。前回からの宿題として、みかん農家さんへの10個の質問を、皆さんには考えてきてもらいました。
《子供たちと農家さんの質疑応答の一部を抜粋します》
Q:害虫や病気の対策はどのようにしていますか?
A:葉っぱの剪定をして、全部の葉っぱに陽が当たるようにしています。そうするとカビもはえにくいです。
Q:種なしみかんはどのようにできたのですか?
A:突然変異した種のない美味しいみかんを増やしています。増やすためには、病気に強いゆずやからたちの木(根っこつき)に、接ぎ木をしています。
Q:みかん皮をむくと出てくる白いもじゃもじゃは何ですか?
A:皮から房に水分や栄養を届ける管で、維管束と言います。
Q:みかんの美味しさは甘さだけで決めるのですか?
A:甘さと酸っぱさのバランスで決めます。甘さをはかる糖度計、酸っぱさをはかる酸度計というものも使います。さきほど見学した蔵では、酸味が抜けていきますが、長く保存し過ぎると酸味が抜けすぎて水っぽくなり、糖度も下がっていきます。
Q:みかんの実がなるまで何年かかりますか?
A:3〜5年で実はつくけれど、美味しくないです。15〜18年経たないと美味しいつぶのそろったみかんはできないのです。
Q:みかんにはどんな病気がありますか?
A:例えば「黒点病」といって、黒い小さな点々が皮の表面に出ることがあります。雨水と一緒に菌の胞子がみかんにくっつくと、感染してしまいます。見た目が悪く売れなくなってしまうので、無農薬ではなく減農薬で育てています。
Q:水やりはしていますか?
A:基本的には天水(雨水)のみで育てています。しかし今年の夏は40日も雨が降らないときがあったので、タンクとホースで水まきをしなければならないときがありました。
Q:1年間でできる実の数はいくつですか?
A:1本の木から、だいたい400kgくらいとれます。
Q:みかんにとって悪いものは何ですか?
A:寒さです。昔は小田原が、みかんの産地の北限だと言われていました。いまでは福島県くらいでも育てられるそうです。
Q:みかんを使った化粧品を作っていると聞きましたが、その効果について教えてください。
A:ひきしめ効果、保湿効果があると考えられています。また、香りも良いです。
全員、とても積極的に質問をしました!
最後に、きんちゃんハカセと一緒に、みかんを使った実験に挑戦しました。
今回用意したみかんは、
A:収穫したての黄色いみかん
B:収穫したての橙色のみかん
C:蔵で保存している橙色のみかん
の3つです。それぞれ、糖度計を使って甘さをはかってみました。
実験の結果、意外なことに、A, B, Cどのみかんも糖度が12〜13となりました。
しかし、実際に食べてみると、
A:収穫したての黄色いみかん
B:収穫したての橙色のみかん
C:蔵で保存している橙色のみかん
A<B<Cの順に甘さが増していると感じられます。
秋澤さんの説明にあったように、熟すことで酸味が抜けていくことが実感できました。
さて、次回はキッチン実習。かまぼこ作りに挑戦です!
講師は、海洋科学の博士、なんば先生がつとめます。お楽しみに!
■日時:2015年12月23日(水・祝)11:30~13:30(11:00開場)
■場所:梅酒ダイニング明星 東京都揚場町2-27MIT飯田橋ビル3階
■内容:かまぼこ作り(実験・調理・試食)
■対象:小学校3~6年生 親子
■体験参加費:3,000円(材料費含む)
■申込み期限:2015年12月22日
「アグリサイエンスラボ」は、栽培学から栄養学まで、食べものの科学について研究をしているハカセたちが集まる研究所です。「食べものは、どこでどんなふうに作られているんだろう?」という疑問を実験や調理を通して解き明かすことで、子供たちの興味を引き出し感性や創造力を育みます。